久保九段会心譜:受けの名手永瀬二冠なすすべ無し
こんにちは、今回は竜王戦1組ランキング戦より、永瀬二冠×久保九段の対局の模様をお伝えします。
本日は2/24 叡王戦の挑決三番勝負の第3局が行われますね、永瀬×渡辺、永瀬×豊島 うーん、どちらも見たい。そういえば開催場所は今期はどこに決まったのでしょうか、前回は海外から始まったんでしたっけ?鈴木九段がミニ麻雀大会で優勝したとかしなかったとか。まあ見てからの楽しみとします。
関係ないですが連盟HPの”豊島VS渡辺叡王戦挑決三番勝負第3局”の写真のとよPは師匠の桐山先生に似てると思ったのは私だけでしょうか。
・・・私だけですね、はい。
この対局は2020/2/19東京将棋会館「特別対局室」で行われました。そっか永瀬二冠だから久保先生でも東京での対局になるんですね。
先手は永瀬二冠、戦型は後手三間飛車
▲2六歩 △3四歩 ▲7六歩 △4四歩 ▲4八銀 △9四歩 ▲9六歩 △3二飛
※局面図のタイトルが”手目手目”になってますが見なかった事にしといて下さい。
先手は永瀬二冠、▲2六歩から始まりました。後手は角道を止め、端歩をついて飛車を3筋に。
後手、左銀をするすると6四へ
▲2五歩 △3三角▲6八玉 △4二銀 ▲7八玉 △6二玉 ▲5六歩 △7二玉 ▲5七銀 △5四歩 ▲7七角 △5三銀▲8八玉 △6四銀
対抗形らしい駒組みが始まりました、9筋の端歩を付き合ってますが、居飛車は穴熊にしそうな感じです。しばらくは駒組みが続くと思いましたが、後手の左銀が4三でなく5三に上がりました。あらかじめ飛車が3筋にいるので角頭は、別に、大丈夫っス。的な感じでしょうか。先手玉は一目散に8八へ。そして▲6四銀。
先手▲6六銀に後手△4二飛
▲6六銀△4二飛
△6四銀に対し先手は▲6六銀、歩じゃだめなんですね。先手の4筋が薄くなったので△4二飛車、矢倉流中飛車の狙いの一つですね。
もう後手がちょっとよさそうです。
先手がっちり穴熊に、後手は美濃囲い。
▲9八香 △4五歩 ▲4八飛 △3五歩 ▲1六歩 △8二玉▲9九玉 △7二銀 ▲8八銀 △4四飛 ▲7九金 △5二金左 ▲5八金 △1四歩 ▲6八金右 △3四飛▲7八金寄
その後は駒組みが続きました、局面は41手目、先手が7八金寄とがっちり締めた所です、硬い。
後手は飛車をカクカクと動かして角の上に。好形が出来つつあります。
後手細かい飛車の動きで成り込みを狙う
△3六歩 ▲3八飛 △3五飛
後手△3六歩とぶつけました、▲3八飛に△3五飛! 単に△3七歩成~▲同飛なら△3六歩と抑えて△3五飛とするのはだめなんでしょうか、だめなんでしょうね。
後手細かい攻め上手く捌けるか
▲3六歩 △2五飛 ▲2八歩 △2六飛 ▲5九角 △3七歩
今日の叡王戦挑決第3局は15:00からなんですね。そう、叡王戦は始まりが遅い対局が多い棋戦でした、視聴者重視?私は早起き派なので朝7:00開始でも全くかまいませんが(←対局者殺し)。
局面図は△3七歩まで、後手が細かく攻めてます。
先程の単に△3七歩成~△3五飛は▲2七飛で先手全く問題ないとか・・・。なるほど。
△3七歩に▲同桂、▲同角なら△3六飛、▲同飛なら喜んで△2八飛成。
居飛車、飛車、桂、角で攻めの体制に
▲同 桂 △3六飛 ▲3九歩 △4六歩 ▲4五桂 △3八飛成 ▲同 歩 △2四角 ▲5五歩 △4七歩成▲5四歩 △5八飛 ▲2六角 △5四飛成 ▲4一飛
先手は▲同桂、桂で取りました。△3六飛車に▲3九歩! 3九歩なるほど勉強になります(二歩あるくと忘れちゃうんですけどね)。
▲3九歩のおかげで▲4五桂と跳ねる事ができ、飛車交換になりました。先手は拠点の5四歩を払われましたが、▲2六角と覗き、▲4一飛車と降ろして4五の桂との連携を整えます。うーん、対抗形の終盤らしくなってきました。
振り飛車はどう攻めるんだろう?
端玉には端歩で。振り飛車攻撃開始
△5八と ▲5九歩 △同 と ▲7五銀 △6五銀▲2一飛成 △4五龍 ▲5九角 △7六銀 ▲6六銀 △9五歩 ▲3七角 △7四桂 ▲7七歩 △8五銀▲9五歩
後手は持ち駒は歩のみ、6~9筋の歩は切れてないので、と金作りも遠くからになってしまいます。なので4七のと金と6四の銀をひたひたと寄せていきました。バックには2四に角が、5四に龍が控えています。
先手も龍で桂を補充、後手に4五の桂を取られますが龍の筋がずれたので5九のと金を払う事が出来ました。
後手はするすると銀を7六へ、そして9五歩と攻撃を開始しました。
後手、小駒の隊列で敵陣を照射
▲3七角 △7四桂 ▲7七歩 △8五銀▲9五歩 △9六歩 ▲4六歩 △3五龍 ▲9四桂 △同 銀 ▲同 歩 △同 香 ▲1一龍 △8五桂
先手は後手の端攻めを逆襲しますが、後手も7六にいた銀を犠牲に9一の香車を前進することに成功、数手前に打った7四の桂と端の歩と香、そして8五にさらに桂を投入して小駒だけですがかなりの迫力。受けの名手、永瀬二冠がどう凌ぐのか、楽しみになってきました。
負けない将棋の真髄▲6九金!
▲6九金!
6九金!受けの名手、まさに負けない将棋の受けですか。
振り飛車9筋に集中砲火開始
△4二角 ▲5九香 △5四歩 ▲4五歩 △3七龍 ▲同 歩 △6六桂 ▲同 歩 △9七銀
それならばと、後手は3五の龍で3七の角を、7四の桂で6六の銀を取り、盤上の駒を持ち駒に変えて戦力補充。
91手目、9七銀!と本格的に攻撃を開始しました。後手は攻め駒も守り駒も全くサボり駒がありません、4二の角に至っては攻めだけでなく受けにまで効いてます。全駒使って勝つ!まさに裁きのアーティスト。
先手陣崩壊
▲7六銀 △9八銀成 ▲同 玉 △9七香 ▲同 桂 △同歩成 ▲8九玉 △8八と ▲同 金 △9六桂▲7八玉 △8八桂成
局面図は112手目8八桂成まで。後手は4二角、8五桂、9四香を温存したまま9筋を突破してしまいました。
しかし先手玉も右に行ければなんとかなりそう。
先手玉、ついに詰めろが掛る
▲6八玉 △7八銀 ▲同 金 △同成桂 ▲同 玉 △9七角成
先手陣の守りを一掃してついに後手攻めの主役角が成り込み、その馬が拠点となりました。しかもこの局面もう詰めろが掛かってますね、先手玉風前の灯。
先手受けが効かずあえなく投了
▲8九桂 △7九角▲6八香 △8八馬 ▲6九玉 △7七桂成 ▲投了 124手で後手勝ち
後手120手目の△7九角が決め手で先手玉は動けません。仕方なく6八に香を先着させますが、△8八馬~△7七桂成で投了もやむなしとなりました。
124手、対抗形はやっぱり少し長くなりますね、対局者が永瀬先生だったのもあるかもしれません。
投了図を見ても後手は美濃がきれいに残ってます、先手は5九の香が逆に祟ったかも。
両先生、今回も勉強になりました、ありがとうございました。
叡王戦挑決第3局が始まる~、観なきゃ。
解説は誰かしら。ニコ生とかAbemaとか見るの久しぶりだな~。(←将棋観戦ブログですよね)
※局面図のタイトルが”手目手目”になってました。あえてって事にしといて下さい。
-あわせて読みたい- 竜王戦1組ランキング戦 これぞ捌きのアーティスト!久保九段名局 |
-あわせて読みたい- 振り飛車の難敵居飛車穴熊をたった47手で崩壊させた藤井システム。その公式戦デビュー戦を振り返ります。。 |