羽生九段、素晴らしい大局観で完勝

こんにちは。
今回は第61期王位戦挑決リーグ白組より羽生九段×阿部(健)七段の対局の模様をお伝えします。
本局は2020/3/23 東京将棋会館「特別対局室」で行われました。
持ち時間は各4時間、先手は羽生九段です。

先手は羽生九段、戦型は一手損角換りに

▲7六歩 △3四歩 ▲2六歩 △8八角成 ▲同 銀

先手:5手目8八同銀

先手は羽生九段、初手は▲7六歩と角道を開けました、後手の阿部七段、△3四歩、▲2六歩となり、ここで△8四歩なら横歩取りが濃厚。
後手の差し手は△8八角成でした、▲同銀として、戦型は一手損角換りに。

先手は棒銀、後手は腰掛け銀

△4二銀 ▲4八銀 △9四歩 ▲9六歩 △6二銀▲2五歩 △3三銀 ▲3六歩 △6四歩 ▲3七銀 △6三銀 ▲6八玉 △4四歩 ▲7八玉 △5四銀▲2六銀

先手:21手目2六銀

前図以降、先後共に右銀の進出をメインに駒組みを行います。
後手の右銀はは6四から5六に出て腰掛け銀に、先手右銀は3七から2六へ出て棒銀模様。

 

あれ?、棒銀と腰掛け銀て、なんか相性があるとかってNHK講座で行ってませんでしたっけ?
どんなんでしたっけ?忘れちゃったー!太地隊長~!、桃子さ~ん!(←なんすか、いきなり)

後手は2二に飛車を回る、先手構わす▲3五歩と仕掛ける

△2二飛 ▲7七銀 △7二金 ▲5八金右 △7四歩 ▲3五歩

先手:27手目3五歩

先手の▲2六銀に対し後手は△2二飛と飛車を2筋に回ります。受けの手ですよね?これ。
後手陣は5六銀と金のバランスが良く、飛車が自由に動いても今の所は角の打ち込み場所はありません。
先手、数は勝ってませんが初志貫徹で2二に飛車など居ないがごとく▲3五歩と仕掛けます。
先手突破は無理でしょうが、一歩手持ち位は行けそうですか。

先手△3四同歩に▲3七銀

△7三桂 ▲6八金直 △1四歩▲1六歩 △6三金 ▲3四歩 △同 銀 ▲3七銀

先手:35手目3七銀

後手は▲3五歩に△同歩とは取らず△7三桂と跳ねます。対して先手▲6八金、5七の地点を厚くしたのもあるのでしょうか。以下1筋を突き合ってから、△6三金、桂頭を守ったのと、飛車の稼働域を広げたかっこいい手ですね。
そして先手はここで▲3四歩と取りこみました。△同銀、に▲3七銀とバック。確かにこのままだとこの銀、立ち往生しそうですもんね、▲3七銀と引いて次は3六でしょうか、4六だと逆襲に遭いますね。

後手、位はがっちり確保。先手は1筋から手を作る

△4三銀右 ▲4六歩 △6一玉 ▲3六銀 △3五歩▲4七銀 △7二玉 ▲6六歩 △5四歩 ▲8八玉 △3三桂 ▲1五歩 △同 歩 ▲1四歩

先手:羽生49手目

後手は5六にいた銀を4三に引き3三の銀を直にあげて3三に桂を跳ね、2筋3筋の位をがっちりキープ。
ちょっと陣形が上ずってる感じがしますが、作戦なのでしょう。
先手は▲1五歩と突いて△同歩に▲1四歩、端に手を付けました。
この後羽生先生の見事な大局観が見られます。

1筋の攻防先手飛車も1筋に。後手自陣2二に角を投入

△2一飛▲1五香 △1二歩 ▲1三歩成 △同 歩 ▲1八飛 △2二角

後手:56手目2二角

後手は1四の歩を取ると▲2四歩から十字飛車を食らってしまう為に取れません。△2一飛と引きました。先手悠々と▲1五香。△1二歩は仕方のないところ。▲1三歩成△同 歩としてから▲1八飛とい筋に回ります。後手それを似て△2二角と自陣に角を投入しました。
直接的には1筋を見た受けの手でしょうが、先手玉が8八にいるのもこの手を選んだ理由かもしれません。

先手飛車を3筋に!今度は3筋での攻防

▲3六歩 △同 歩 ▲3八飛 △1四歩▲3六銀 △1五歩 ▲3五歩 △2五銀 ▲同 銀 △同 桂 ▲3四歩 △3二歩 ▲3三銀

先手:61手目3三銀

先手は後手の△2二角以下、▲3六歩と突きます。△同歩に3八飛!いきなり3筋に。後手陣の3筋は4一の金も控えているので、あまり薄い感じには見えないのですが。
先手は以下、香を見捨て、銀を捌きながらひたすら歩を前進。やっと四段目までたどり着きましたが、ここで△3二歩。
しかし構わず3三銀!なるほど、後手が銀を打っても、金を上がっても角を取れば突破できますね。

先手飛車を取られる

△4二銀▲2二銀不成 △同 飛 ▲4五歩 △同 歩 ▲3五飛 △4四銀 ▲2五飛 △2四香 ▲同 飛

先手:79手目2四飛

前図以下、後手は銀をさらに投入しますが、先手は▲2二銀と角を取り△同飛。▲4五歩 △同 歩 ▲3五飛として桂と4五の歩(現在歩切れ)の入手を図る両天秤。後手が助けたのは4五の歩でした△4四銀打として4筋は銀銀銀金とキラキラしてます。(実際は光ってませんが)
先手喜んで桂を取ると香車で飛車が詰みます。。
しかし▲2五飛!と桂を取りました。

先手、左辺に続々と戦力投入

△同 歩▲7五歩 △同 歩 ▲6七桂 △5二金 ▲7五桂 △7四金 ▲7六香 △2一飛 ▲5六角

先手:89手目5六角

先手、香車と刺し違えて飛車を取られました。
そして第2ラウンド開始。まず▲7五歩として、△同 歩に▲6七桂。後手は△5二金とカナ駒を寄せていきます。▲7五桂に△7四金、先手は▲7六香と桂に続き厳しい手。△2一飛に▲5六角と続々駒を投入していきます、しかも全て刺さってる感じ(羽生先生だから当然か)。

先手、角桂香で殺到し後手陣崩壊

△6五歩▲同 歩 △同 桂 ▲8三桂成 △同 玉 ▲6五角 △7五歩 ▲同 香 △6五金 ▲7四角 △8四玉

後手:100手目8四玉

前図以下、後手は△6五歩と角の利きをブロックします。▲同 歩に△同 桂とさせて▲8三桂成!とただ捨て。△同 玉に▲6五角、香が効いているのでこの角は取れず△7五歩。▲同 香と歩を払います。ここで△6五金と角を取りますが王手金取りの▲7四角とされ、△8四玉。後手玉が裸にされてしまいました。

先手、馬の威力で後手あえなく投了

▲6五角 △7五玉 ▲8三角成 △6四玉 ▲5六桂 △5三玉 ▲6四金 △6二玉 ▲7三馬 △投了 まで109手で先手勝ち

投了図:109手目7三馬

先手はその後金を入手、後手玉も何とか自陣のカナ駒密集地へ逃げ込もうとしますが、先手の桂と金、そして馬の威力が素晴らしく断念。投了となりました。
投了図以下、まだ後手玉は6一か7一に逃げれば詰みではありませんが、次に先手の4四桂と瓶を取られると、受け無し。(5二には4四の桂が利いてる仕組み、かっこよすぎ!)対して先手玉は底歩も聞くので罪はなく、後手投了もやむを得ない所でしょうか。

 

羽生九段の香、銀を捨て、飛車も切って後手玉に迫る素晴らしい大局観を見せてもらった対局でした。

 

両先生方、今回も勉強になりました。ありがとうございました。

 

 

 

 

 

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