将棋観戦 藤井七段A級棋士に鮮やかに勝ち切り!

こんにちは。

 

将棋観戦、今回は第91期ヒューリック杯棋聖戦決勝トーナメントより菅井八段×藤井七段の対局(指し直し局)の模様をお伝えします。
この対局は2020/3/31 関西将棋会館「御上段の間」で行われました。
開始時間は、千日手指し直し局の為18:54
先後も入れ替わり、菅井八段の先手となっています。

 

先手菅井八段初手▲7六歩から四間飛車へ

▲7六歩 △8四歩 ▲6八飛 △3四歩 ▲6六歩 △6二銀 ▲4八玉 △4二玉 ▲7八銀 △5四歩▲6七銀 △3二玉 ▲3八玉 △5三銀 ▲2八玉 △8五歩 ▲7七角 △3三角

後手:18手目3三角

先手の菅井八段は今季からA級に参加する超の付く強豪棋士です、羽生王位(当時)から王位のタイトルを奪取した実績もあります。対して後手の藤井七段は知る人ぞ知る将棋界の未来を担うと言って過言ではない存在ですね。未だタイトル挑戦の経験こそありませんが、例の29連勝に始まり、10代にして7段、棋戦優勝3回、そして先日は順位戦B2昇格と、竜王戦ランキングも2組昇級を決めました。今期こそタイトル挑戦して和服姿を見せてほしい所です。

 

本局は千日手指し直し局なので持ち時間が異なります。菅井八段2時間29分、藤井七段1時間0分、かなり差がありますね。

 

先手は菅井八段、初手は▲7六歩、後手藤井七段△8四歩。そして菅井八段3手目に▲6八飛として四間飛車の提示、1局目と同じ戦型になりました。図は18手目、後手の藤井七段が▲3三角と上がった局面、後手は穴熊志向の意思表示、しかし18手目にしてまだ1筋の歩をついていないのを見ると、先手も美濃ではなく穴熊に囲う可能性も高くなってきました。

 

先後共穴熊に、振り飛車は8八飛、6六角でv8筋を目標に

▲5八金左 △2二玉▲5六銀 △4四歩 ▲1八香 △1二香 ▲1九玉 △1一玉 ▲2八銀 △2二銀 ▲3九金 △5二金右▲4六歩 △4二金寄 ▲8八飛 △7四歩 ▲6五歩 △3一金 ▲3六歩 △3二金寄 ▲6六角

先手:39手目6六角

居飛車、振り飛車共、穴熊に囲い合いました、長くなりそうです・・。
図は39手目、先手の菅井八段が7七から6六へ角を上がった局面。6手目に飛車を8八に回っているので、角は積極的に動けます、7筋で一歩が手に入れば8筋で位も取れますし、いきなり▲4五歩から角を捌いてくる展開も考えられます。
後手の藤井七段は右銀を中央に置いて金銀3枚でがっちり穴熊に。先手の飛車が8筋に行ったので、5三の銀は今遊んでいる状態、今後どうするのでしょうか、穴熊にくっつけますかね。

68手目ようやく駒のぶつかり

△5一角▲7七桂 △3三角 ▲4七銀 △4二銀 ▲5六歩 △9四歩 ▲9六歩 △8三飛 ▲8九飛 △1四歩▲1六歩 △8二飛 ▲4八金左 △9二香 ▲3八金寄 △4三銀 ▲9八香 △2四歩 ▲2六歩 △2三銀▲2七銀 △2二金上 ▲2八金上 △4二角 ▲4八角 △3三角 ▲3七角 △7五歩

後手:68手目7五歩

前図以下、先後とも牽制し合ってなかなか手を出しません。角や飛車を上げたり下げたり、両陣の穴熊の発展ぶりが手詰まりを象徴しています。
対抗形で9筋の香がお互い上がっているのも珍しい所。
しかし、囲いもいつかは飽和状態になるもの、68手目、後手の藤井七段がついに▲7五歩と駒をぶつけました。菅井八段の術中にはまったか、それともいけると思ったのか、この後どうなるのか、楽しみです。

出た!藤井七段得意の踏込み(手抜き)

▲4五歩 △8四飛▲4四歩 △同 角 ▲8六歩 △7六歩 ▲9一角成 △7七歩成 ▲9二馬 △2五歩 ▲4六香 △2六歩

後手:80手目2六歩

前図以下、先手菅井八段、△7五歩のタイミングで、狙いの▲4五歩を突きます。飛車取りで気持ちいい手。対して後手藤井七段、△8四飛と浮きました。1九に角を成られてもまだ空成りなので大丈夫との判断。▲4四歩の取り込みに△同角、次に先手は▲8六歩と桂馬と歩の連携を図りますが、△7六歩、▲9一角成 △7七歩成と後手に桂馬を取られ金も作られてしまいました。先手はその代償に▲9二馬と香を取りながら引きます。次▲8五歩で飛車交換か、抑え込みが出来そうですね。後手構わず△2五歩、ついに穴熊攻略に乗り出しました。先手田楽刺しの▲4六香、しかし後手藤井七段、両取り逃げるべからず△2六歩!と得意のロング踏込みがもう出ました。急所なんですね。この後激しくなりそうです。

先後共縦から穴熊攻略へ、一体どちらが早いのか

▲同 銀 △同 角 ▲4三香成 △同 金 ▲2四歩 △同 銀 ▲8五歩 △2七歩 ▲同金直 △2五香▲2三歩 △同 金 ▲3二銀 △3三金右 ▲2三銀成 △同 金 ▲2八金 △4六歩 ▲同 銀 △7八と▲8七飛 △5九角成 ▲2六歩 △同 香 ▲同 金 △2五歩 ▲2七金引

先手:107手目2七金

前図以降激しくなりました。お互い穴熊の急所2筋に駒を撃ち合い縦からの攻略を目指します。後手の飛車はもう死んでますし、先手の飛車もその気になればすぐ取られそうです。
一体どっちが勝っているのか。

2筋で拠点の奪い合い

△2六桂 ▲同 金 △同 歩▲2五歩 △2七銀 ▲2四歩 △2八銀成 ▲同 金 △3九銀 ▲1七銀 △2八銀不成 ▲同 銀 △2七金

後手:120手目2七金

前図以下、先後共激しい駒の打ち込み合戦が続きます。駒を打ち込んで戦果をあげるには拠点が必要、その拠点は先後共、2四、2六にしっかり確保、
ガンガン駒を打ち込んでいきます。
図は後手の藤井七段が△2七金と打ち込んだ所、大駒の働きは恐らく五分、先手は4六の銀が、後手は8一の桂が遊んでいるのが難点。

先手菅井八段、ついに受けに回る

▲1七銀 △2八金 ▲同 銀 △2七金 ▲3九金 △1八金 ▲同 玉 △2五香 ▲1九桂

先手:129手目1九桂

前図以下、先手は金がないので、銀で受けます。後手の藤井七段、待ってましたとばかりに銀ではなく香を取りました、自然と玉が出てきます。そして後手は拠点の2六歩の後ろに香車を配置。先手は8七に飛車が要るものの、たまらず1九に桂を打って2七の地点を守りました。
攻守がはっきりしてきました。

両穴熊、骨の断ち合い

△2七銀▲同 桂 △同歩成 ▲同 銀 △2六歩 ▲3八銀 △2七金 ▲1九玉 △3八金 ▲2三歩成 △2八銀

後手:140手目2八銀

前図以下、後手の拠点が今度2五の香に代わりました、2六の歩が突っ込めるわけです。2六の歩も攻めに参加し、後手は更に駒を打ち込んで先手玉はほぼ丸裸状態に。しかし最後に▲2三歩成として後手玉に詰めろが掛かりました。
それに対し後手の藤井七段、△2八銀と攻めをゆるめません、というかもう詰んでますね、先手玉。

後手藤井七段、鮮やかに先手玉を詰ます

▲1八玉 △2七歩成 ▲同 飛 △同香成 ▲同 玉 △2六歩 ▲投了 まで146手で後手勝ち

投了図:146手目手目2六歩

前図以降、先手玉にはすでに詰みがあり、後手の藤七段が鮮やかに勝ち切りました。先手の菅井八段、あと一歩まで追い詰めましたが、無念の投了。
投了図以降は、▲1八玉には△1九飛。▲3八玉には、△3九銀成、(▲同玉は△4七桂から詰み)▲4七玉、△4八飛、▲5七玉、△6八飛成、▲4七玉、△4八竜まで詰みとなります。

 

後手の藤井七段、A級棋士から鮮やかに勝ち切りました。対菅井戦は藤井七段の3連勝だそうです。(藤井七段から見て3勝2敗)。
初めてこの二人が対戦した時は、菅井七段(当時)の圧勝だったイメージがあるだけに、今回の藤井七段の勝ちは、かなり成長を見せつけられた印象です。
両先生方、今回も勉強になりました、ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

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