A級順位戦第9局渡辺三冠×三浦九段 渡辺三冠全勝達成!
こんにちは。今回はA級順位戦より、渡辺三冠×三浦九段の一戦の模様をお伝えします。
渡辺三冠はこれまで順位戦は8戦全勝で、最終局を残して早くも豊島名人への挑戦権を既に獲得しています。
対する三浦九段は4種4敗の7位。残留は確定しているので、来季への順位が掛かった勝負になりますね。
この対局は静岡県静岡市「浮月楼」で行われました。
浮月楼は15代将軍慶喜公が戊辰戦争の謹慎後に住んでいた屋敷跡にある料亭みたいですね。
浮月楼の庭園 出典:https://www.visit-shizuoka.com/
元因縁の対決先手三浦九段▲2六歩から相掛りへ
▲2六歩 △8四歩 ▲2五歩 △8五歩 ▲7八金 △3二金 ▲3八銀 △7二銀 ▲9六歩 △5二玉▲3六歩 △8六歩 ▲同 歩 △同 飛 ▲3七桂 △9四歩 ▲7六歩
2年前は因縁の対決だったこの二人、確か前期も最終局で指していた気がするのですが・・・、違っていたらすみません。
初手は三浦九段▲2六歩、後手△8四歩から戦型は相掛りとなりました。
局面図は▲7六歩まで。同飛と取ると、▲2四歩△同歩▲8二歩くらいでしょうか。。
後手先手の飛車回りを拒む幸便な桂跳ね
△3四歩 ▲6八玉 △7六飛▲2四歩 △同 歩 ▲同 飛 △7四飛 ▲2五飛 △9三桂
後手が角道を開け、先程の横歩(7六歩)を取りました。先手も飛車先を切る▲2四歩、後手△7四飛。
先手の飛車は後手の飛車が7筋にいるので8筋に回る牽制として△2三歩を打たれる前に2五に引きました。それを見て後手△9三桂。これは▲8二歩の直あたりも避けてる一石二鳥のいい手に見えます。今なら7四に飛車もいますしね。
先手桂交換からおかわりの▲4五桂
▲7七桂 △2三歩 ▲9五歩 △同 歩▲8七歩 △8五歩 ▲6九玉 △4二銀 ▲5九金 △4四角 ▲4五桂 △3三桂 ▲同桂成 △同 角▲4五桂
今将棋界で注目と言えばこのA級順位戦最終局や、先日の棋王戦第3局も相当ですが、私の注目はなんといっても3/7の三段リーグの西山三段の勝敗ですね(←何回書いてるのか、このくだり)。
現在3位に付けています。女性初の四段昇段なるか、せめて最悪次点を付ければもし今季逃しても来季以降少しは楽になるかもですね。
後手の▲9三桂で先手は▲7七桂と跳ねました、△2三歩に▲9五歩、9三に桂がいるので先手は端に照準を合わせ始めます。
▲8七歩△8五歩。▲9五飛とさせてはいけないので△8五歩と拒みました。その後、逆側の桂を後手陣内で交換し、局面は△同角と応じた後のおかわりの▲4五桂。
先手Wの桂で5三を狙う
△4四角 ▲6五桂 △4一桂
後手は先手の狙い(W桂跳ね)を警戒してるのか再三4四に角を移動します。
先手も構わず6五桂。さすがに△4一桂と受けました。
後手△3七角に先手痺れる!?
▲4九銀 △8八角成 ▲同 銀 △3七角 ▲7七角
先手は3八に上がっていた銀を一旦4九まで引上げて玉周りを引き締めますが、それを見て△8八角成~△3七角打。
7筋の飛車が素通しなので△5九角成~△7八飛車成となれば先手投了級。先手はその飛車成りを防ぎつつ1一の香にも狙いを定め▲7七角と返しました。なんか勝負手ぽい感じですか。
局面図はその▲7七角まで。
先手馬を作るも後手中央の歩が刺さってきた
△4四歩▲9四歩 △1九角成 ▲9三歩成 △同 香 ▲5六桂 △4三銀 ▲5三桂右成 △同 桂 ▲同桂成 △同 玉▲6六角 △5五歩 ▲9三角成 △5六歩
後手△4四歩に対し先手も▲9四歩と桂頭に歩を打ちます。香が大好きな渡辺三冠ですから、9三の桂は見捨てて△1九角成りと香を取ります。先手▲5六桂、△4三銀。4二の銀が4三に上がり5三の地点が薄くなった為先手W桂が発動します。 ▲5三桂右成 △同 桂 ▲同桂成 △同 玉▲6六角。
玉を引っ張りだしてから▲6六角、△5五歩▲9三角成△5六歩。
先手は香を取り返しながら馬を作れましたが、△5五歩~△5六歩の後手の戦果の方が相当大きいと感じます。
後手無理に踏み込まず手堅く差して先手投了。
▲6六桂 △6四飛 ▲5六歩 △4二玉 ▲8五飛 △8四歩▲9五飛 △6五桂 ▲9二馬 △8五桂 ▲投了 74手で後手勝ち
その後、先手も攻めますが、後手は手堅く差し回します、先手の飛車、馬が全く機能しません。その間に後手は2枚の桂を設置、先手戦意喪失であえなく投了となりました。
後手の渡辺三冠、まるで横綱相撲のような中終盤の差し回しだったと思います。
両先生今回も勉強になりました、ありがとうございました。
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