鈴木九段快心譜:ノーマル四間飛車で居飛車穴熊を鮮やかに寄せ切り!

こんにちは。
今回は王位戦決リーグ紅組より、鈴木九段×本田五段の対局の模様をお伝えします。

この対局は2020/3/9 東京将棋会館「雲鶴の間」にて行われました。対局開始は10時 持ち時間は各4時間です。

先手鈴木九段5手目▲6六歩としてノーマル間飛車に

▲7六歩 △8四歩 ▲6八飛 △3四歩 ▲6六歩

先手:6六歩

 

 

先手は鈴木九段、初手▲7六歩、後手本田五段△8四歩、以下 ▲6八飛△3四歩▲6六歩と進みました。
鈴木九段はあまり角交換振り飛車を指さないイメージです。本局も5手目に角道を止めて玉を囲いにいきます。

 

角道をとめるノーマル四間飛車は、序盤は攻め2:守り8、の守備型の陣形と言われます。
相手に攻めさせてカウンターで仕留める。勝ったら何とも気持ちの良い戦型です、マチュアに根強い人気があるのもそう理由があるのかも知れません。

 

先手美濃囲い、後手は船囲いから早くも△6四銀と進出

△8五歩 ▲7七角 △6二銀 ▲7八銀 △4二玉▲4八玉 △3二玉 ▲3八銀 △5二金右 ▲3九玉 △5四歩 ▲1六歩 △1四歩 ▲6七銀 △5三銀▲5八金左 △7四歩 ▲2八玉 △6四銀

後手:24手目、6四銀

 

5手目▲6六歩以降先後共定跡通りに進みます。

 

後手は左銀は動かさず右銀を進出、早くも6四と上がり、攻めの体制を築きます。
先手は▲2八玉と入って綺麗な美濃囲いに。~高美濃~銀冠と差し手には困りません。

 

振り飛車銀冠、居飛車穴熊へ、長くなりそう・・・

▲7八飛 △4二金直 ▲5六歩 △7三桂 ▲9八香 △3三角▲4六歩 △4四歩 ▲4七金 △4三金右 ▲3六歩 △2二玉 ▲3七桂 △3二金 ▲2六歩△1二香▲6八角 △1一玉 ▲2七銀 △2二銀 ▲3八金

先手:45手目、3八金

 

先手は▲7八飛と7筋に飛車を先回り、振り飛車側の常套ですね。 それに対し後手△4二金直、▲5六歩に△7三桂と跳ねました。
先手将来後手に角を成られても空成りにさせる▲9八香。その昔この9八香(1二香)の発見で当時亜流とされていた四間飛車が復活したのだと聞いたことがあります。

 

▲7七角に後手△3三角と玉を囲いにいきます。
先手も▲4六歩と高美濃へ。以下△4四歩▲4七金△4三金右▲3六歩△2二玉▲3七桂△3二金▲2六歩△1二香、後手は穴熊へ。

 

▲6八角 △1一玉 ▲2七銀 △2二銀 ▲3八金。
先手も後手も上部に厚く、横からの攻めにも固そうです。

 

後手△5五歩と仕掛ける

△4二角 ▲7九飛 △5五歩

後手:48手目、5五歩

先後共囲いが完成し、ついに後手が△5五歩と仕掛けました。

 

後手△2四角で狙いを中央に

▲5九飛 △8六歩▲同 角 △4五歩 ▲同 歩 △2四角

後手:54手目、2四角

△5五歩に対し先手は▲5九飛と回ります。△8六歩に▲同 角、同歩だと△5六歩から△8八歩で先手まずいですか、そうでもないですか。

 

以下△4五歩▲同 歩と進み4六に空間を作り、△2四角と覗きます。飛車も5二へ回るのでしょうか。

 

中央での小競り合いは収まり第2ラウンドへ。やっぱり長くなりそう・・・

▲4四歩 △同 金 ▲4六歩 △5六歩 ▲同 銀 △5五歩▲6七銀 △4三金引 ▲5八飛 △4二角 ▲8八飛

先手:65手目、8八飛

先手△2四角に対し▲4四歩と金取りにつき越します。△同 金に▲4六歩と傷を消しました。しかし後手も△5六歩▲同 銀△5五歩と5筋の位を取ってまずまず。

 

▲6七銀に△4三金引と浮き駒を無くします。プロっぽい手ですね。
▲5八飛△4二角に▲8八飛。局面はいったん収まった感じです。
ちなみに58手目の△5六歩は100分越えの大長考だったそうです。プロが100分考えるって、何通りどこまで読んでるんでしょうか・・・。
第2ラウンドの始まりです。

 

好手!▲8六歩一本で後手銀桂立ち往生

△7五歩 ▲同 歩 △同 銀 ▲9五角 △8四銀▲6八角 △8五銀 ▲7四歩 △同 銀 ▲4五歩 △6四角 ▲8六歩

先手:77手目、8六歩

後手は攻めるなら当然△7五歩から、6四の銀と4二の角が控えてます。▲同 歩△同 銀に、先手一旦▲9五角と逃げます。△8四銀に▲6八角、後手の銀が遠方へ。
△8五銀▲7四歩△同 銀。

 

先手再び▲4五歩と4筋の位取りと角の活用を図ります。それに対し後手も△6四角と好位置に、▲4六角への牽制もありますでしょうか。
しかも依然として8筋も睨んでいます。角の働きは断然後手の方がいいですね。
しかし先手の次の一手で後手駒の働きが激減してしまいました。

 

▲8六歩!なるほど、これで後手の銀桂は攻めるどころか動くことが出来なくなってしまってます。超勉強になります。

 

後手△5二飛と回り中央突破に切り替え!

△4二金引 ▲4六角 △5二飛▲7八飛 △5六歩

後手:82手目、5六歩

後手△4二金引とあらかじめあたりを避けました、本田五段は受け将棋の棋風なのでしょうか、攻めのイメージが強いですが。

 

先手も▲4六角と出ます。
▲4六角で8六の利きは後手の方が多くなりましたが、後手は△5二飛と中央に回りました。
やはり先手の6筋の歩、銀と未だ控えている桂が手厚い印象なので8筋からの攻めは諦めたのでしょうか。

 

それならばと先手▲7八飛と銀取に寄りました。後手か構わず△5六歩。
7四の銀を取られても△4六角~△5三歩成りで5筋を突破できます。

 

いよいよ攻め合いに、後手陣穴熊に火が付きはじめる

▲5五歩 △同 角 ▲同 角 △同 飛 ▲5六金 △7七歩 ▲5八飛 △5二飛▲5三歩 △8二飛 ▲4六角 △5五歩 ▲同 角 △6四角 ▲同 角 △同 歩 ▲4四歩 △3五歩▲9六角 △3六歩 ▲同 銀 △6三角 ▲4六金 △8六飛 ▲5二歩成 △同 金 ▲8七歩 △9六飛▲同 歩 △6九角 ▲3三歩

先手:113手目、3三歩

そういえば最近ニコ生の番外企画的な番組みてないな~。
最近は何か面白い番組とかあったのでしょうか。
個人的にはDJダニーが好きなのですが、あれは大晦日限定ですからね。
福崎先生のゲーム実況はかなり面白いので頻繁にやって欲しいですね、青嶋さんと永瀬さんと三人で協力した番組はかなり面白かった。

 

あ~あ、藤井七段と窪田七段の全部当てるまで帰れま10とかやってくんないかな~。(←絶対やらない。でも超絶見たいそれ)

 

局面図は113手目▲3三歩(打)まで。前局面からかなり飛ばしました。
後手は飛車取りに角を放ってますが、飛車には紐が付いているので先手はそんなに忙しくない印象、▲3三歩とついに穴熊攻略の開始です。

 

お互い飛車を降ろし合いいよいよ最終盤に

△3一金 ▲5二飛成 △同 角 ▲5一飛 △4一金 ▲9一飛成 △4九飛

後手:120手目、4九飛

後手△3一金と下がります。▲5二飛成と切り△同 角に▲5一飛と角香両取りに。後手△4一金と角に紐と付けます。▲9一飛成に後手△4九飛と降ろしました。

 

居飛車の猛攻、振り飛車の爆守備

▲4八金打 △3六角成 ▲同 金 △8九飛成 ▲4三歩成 △2四桂 ▲3五金 △6三角 ▲4五歩

先手:129手目、4五歩

 

先手△4六飛成を防ぐべく手厚く▲4八金打ち。それに対し後手は△3六角成と切ります。 ▲同 金△8九飛成に▲4三歩成と先手待望のと金が出来ました。
△2四桂にも▲3五金と踏み込まず冷静に面倒を見ます。
△6三角には▲4五歩とがっちり角道を止めました。手堅い。
後手は三筋の歩が切れているので2四の桂を拠点にがりがりいけそうです、龍も控えてます。

 

ノーガードの打ちあい開始、一体どちらが早いか。

△3一歩▲3四香 △4七歩 ▲3二歩成 △同 歩 ▲同香成 △3一銀 ▲2一成香 △同 玉 ▲4七金直 △3六歩▲3二歩 △3七歩成 ▲同金寄 △3六歩

後手:144手目、3六歩

後手一回は△3一歩と受けます。対して先手は狙いのの▲3四香、後手も負けじと△4七歩、ノーガードの打ちあい開始です。▲3二歩成△同 歩▲同香成。△3一銀と今度は銀で埋めます。 ▲2一成香 △同 玉 ▲4七金直 △3六歩▲3二歩 △3七歩成 ▲同金寄 △3六歩・・・。
一体どちらが早いのでしょうか。

 

振り飛車鮮やかに寄せ切り、後手投了

▲3一歩成 △同 銀 ▲4一龍 △同 角 ▲3三桂 △投了まで 149手で先手勝ち

投了図:149手目、3三桂

 

先手△3六歩に構わず▲3一歩成、寄せに入りました。△同 銀に▲4一龍、△同 角と取り返しますが▲3三桂で後手投了となりました。
以下△2二玉、▲1一銀(同玉は2一金)、△1三玉、▲2二角、△同銀、▲同銀不成、△同玉、▲2一金、△1三玉、▲2二銀までの詰み。

 

振り飛車の大家、鈴木九段の快心譜だったと思います。後手は結局7筋の銀桂が終局まで一度も動きませんでした。

 

両先生、今回も勉強になりました、ありがとうございました。

 

※本田五段、(何度も言ってますが)棋王戦頑張って下さい。

 

 

 

 

 

 

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