竜王戦ランキング1組決勝羽生九段VS佐藤(和)七段 対抗形

こんにちは。
今回の将棋観戦記は、5/7 東京将棋会館で行われた竜王戦1組ランキング戦決勝、羽生九段VS佐藤(和)七段の対局の棋譜を掲載します。
今期の1組の優勝者を決める注目の一局です。本局に勝てば1組優勝、本戦で1回勝てば、挑決3番勝負にたどり着ける超好位置。
しかし広瀬前竜王が破ったとはいえ一組優勝のジンクス(一組優勝者は何故か挑戦者になれない)はまだ記憶に新しく、優勝したら逆に竜王に遠ざかってしまうのではないか、とすら思ってしまいます。

 

しかし物理的には圧倒的に有利なトーナメントシードなので、実利として絶対優勝は逃したくないところですね。(賞金も十優勝と全然違いますし。)

 

本対局の先後は振り駒です。と金が5枚で佐藤七段の先手番と決まりました。

先手四間飛車 戦型は対抗形

▲7六歩 △8四歩 ▲1六歩 △3四歩 ▲6六歩 △6二銀 ▲7八銀 △5二金右 ▲1五歩 △4二玉▲6八飛 △3二玉 ▲6七銀 △8五歩 ▲7七角 △5四歩 ▲4八玉 △5三銀 ▲3八玉 △3三角

20手目後手3三角

先手佐藤(和)七段、初手は▲7六歩、後手羽生九段△8四歩、以降、先手は角道を止め、11手目に▲6八飛として四間飛車に。対して後手の羽生九段も20手目、△3三角として、持久戦模様の駒組み、穴熊もあるかもしれません。

先手は金無双、後手は穴熊に

▲4八金 △2二玉 ▲3六歩 △4四歩 ▲2八銀 △4三金 ▲2六歩 △1二香 ▲3七桂 △1一玉▲5六銀 △2二銀 ▲5八金左 △7四歩 ▲6五歩 △3一金

36手目後手3一金

前局面図以降も駒組が続きます。先手佐藤七段は金無双に構えました。早めに▲2六歩と突いて穴熊攻略を見せつつ、銀冠(ボナンザ囲い?)への発展も可能にしています。
対して後手の羽生九段は左金を寄せて穴熊に、右の金銀もいずれ寄せてくるものと思われます。

角交換後、後手攻防の△4四角

▲4六歩 △7五歩 ▲同 歩 △8六歩▲同 歩 △4五歩 ▲同 桂 △7七角成 ▲同 桂 △4二銀 ▲8八飛 △4四角

48手目後手4四角

前局面図以降、先手佐藤七段の▲4六歩を見て後手の羽生九段が積極的に動きます。7、8筋の歩を突き捨ててから△4五歩、先手▲4五同桂と両取り先手で桂で取ります。
後手は当然△7七角成、▲同桂に、後手は一度△4二銀と桂の当たりをかわします。後手は△8六飛が楽しみ。
ですので先手は▲8八飛と△8六飛を受けますが、後手△4四角。これは受けにくいですね、金を上がるかですか。▲8七飛はあまりにも不安定。

後手玉頭からじわじわ圧迫

▲6七金 △3五歩▲8五歩 △3六歩 ▲8四歩 △3三銀右 ▲3七歩 △同歩成 ▲同 銀 △3四銀 ▲8三歩成 △3二飛▲3三歩 △同 桂 ▲7二と △4七歩 ▲同 金 △5五歩 ▲3五歩

67手目先手3五歩

竜王戦の今期ランキング戦はこの一組の決勝も注目も1局ですが、他の組も結構注目の話題がありますね、まず3組の決勝、藤井七段の4期連続優勝や、お相手が師匠の杉本八段という事も注目ですね。

 

しかし私個人的には6組の準決勝迄進んでいる西山三段の存在ですね、今期は三段リーグ次点枠として出場している西山三段、なんとこれまで四人抜き、六組準決勝迄きています。つまり、後2回の対局の内、1回でも勝てば5組昇級になりますね。どうするんでしょうかね、この場合。
局面図は67手目、後手の△5五歩に対して先手も銀取に▲3五歩と突き返したところです。パッと見先手の駒の効率がかなり悪そうです。玉頭に戦力をためている後手の方が良さそうです。

 

後手大駒を軸に玉頭から殺到で先手やむなく投了

△同 銀 ▲3四歩 △5六歩▲3三歩成 △同 金 ▲1四歩 △同 歩 ▲2五桂 △8七歩 ▲同 飛 △3六歩 ▲同 金 △同 銀▲同 銀 △2六角 ▲3七歩 △3四金 ▲8一飛成 △2五金 ▲投了 まで86手で後手勝ち

投了図後手3五金

 

前局面図以降、先手は2枚の桂を使って力を溜め、攻めの準備を整えますが、その間に着々をと後手に歩と拠点の銀を使って守り駒を剥がされ、ついに
4四にいた角が2六に到着し、先手玉は一気に狭くなってしまします。

 

▲8一飛成と形作りの手を指すのが精一杯。86手目△2五金を見て投了となりました。

 

羽生九段、優勝おめでとうございます。

 

和俊さん、本線では頑張って下さい。

 

両先生方、本局も勉強になりました、ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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