渡辺王将 大熱戦を制し、防衛成功!
こんにちは。
今回の将棋観戦記は第69期王将戦七番勝負第7局より、渡辺王将×広瀬八段の対局の模様をお伝えします。
ついに今期の王将戦も最終局となりました。
渡辺王将が連覇するのか、広瀬八段が奪取するのか、早速見ていきましょう。
先手は渡辺王将初手は▲7六歩から相矢倉へ
この対局は2020/3/25・26 新潟県 佐渡グリーンホテルきらくで行われました。
開始時間は9時 持ち時間は各8時間です。
▲7六歩 △8四歩 ▲6八銀 △3四歩 ▲7七銀 △6二銀 ▲2六歩 △4二銀 ▲2五歩 △3三銀
初手は渡辺王将▲7六歩、対して後手の広瀬八段8四歩。以下▲6八銀、△3四歩となり、戦型は相矢倉になりました。
後手広瀬八段△5四歩突かず△6四歩
▲4八銀 △3二金 ▲5八金右 △4一玉 ▲5六歩 △5二金 ▲6六歩 △7四歩 ▲6七金 △6四歩
前図以降、▲4八銀、△3二金と通常の矢倉の囲いへの動きでしたが、後手の広瀬八段は4四歩も5四歩もなかなか指しません。△7四歩からなんと△6四歩と突きました。
矢倉でこのような定跡があるのですか?(←誰に?)それとも広瀬八段のオリジナル?でも今の所まだ前例はあるみたいですね。
後手右四間飛車に
▲7八金 △6三銀 ▲3六歩 △5四銀 ▲7九角 △7三桂 ▲3七桂 △6二飛
後手の広瀬八段は△6三瓶~△5四銀と銀を腰掛けました。対して先手の渡辺王将も▲7九角から▲3七桂と駒組みを進めます。
そして28手目広瀬八段△6二飛!なるほど、右四間飛車かー。
先手駒がぶつかる前に▲7七桂を間に合わせたいが
▲5七角 △1四歩▲6九玉 △9四歩 ▲9六歩 △6一飛 ▲6八銀 △4二銀
先手の渡辺王将、角は4六ではなく、5七に上がりました、その訳は数手後にわかります。以下△1四歩に▲6九玉、囲いを急ぎます。
△9四歩はさすがに受けなくてはいけませんので▲9六歩、に△6一飛、そして▲6八銀と一度上がった銀を引きました。
7三の桂に対し、8九桂を早く7七にあげたいのだろうと思います、それまでは局面が穏やかに進んでもらわなければなりません、4六に上がるとおそらく△4四歩は突いてくるので、その為の▲5七角だったのだと思います。
しかし後手の広瀬八段、▲6八銀を見て機敏に△4二銀、角道がスッと通りました。△4二銀、う~んいい手っすね。(←上から言うな)
先手バッサリ角切り!
▲4六角 △4四歩 ▲2四歩 △同 歩▲5五歩 △4五歩 ▲2四角 △5五銀 ▲4二角成
前図以下、先手渡辺王将は▲4六角と出ました、後手広瀬八段は△4四歩と突きます、▲2四歩、△同 歩に▲5五歩、銀の撤退を促します。しかし後手も△4五歩と反発、▲2四角に△5五銀 と五段目まで進出できました。
先手渡辺王将、ここでなんといきなり▲4二角成!▲5六歩や▲5七角ではじり貧と見たのでしょうか。
次は▲7五歩か、2三に銀を打ち込んだりするのかな?
先手渡辺王将今度は飛車切り!
△同 玉 ▲2二飛成 △同 金 ▲7二角
銀を打ち込むなんて、私のような者が思いつくことなんて、王将が指すわけないですね、前図以下△同 玉に▲2二飛成!でした。△同金、▲7二角、なるほど、4五に馬が出来るとよさげですね。
後手広瀬八段王手馬取りで先手攻め駒無し
△3一飛▲4五角成 △3三角 ▲3五歩 △4四銀 ▲3四馬 △2三金 ▲同 馬 △2九飛
後手広瀬八段は飛車を3一に逃げました。対して後手は狙い通り▲4五角成。△3三角と5五の銀に紐を付けます。▲3五歩、△4四銀として▲3四馬と潜り込みました。以下△2三金、▲同 馬!△2九飛!と後手は王手馬取りに。先手はう馬が取られてしまったら攻め駒がなくなってしまいます。私なら投了級の手ですが。。
先手は大丈夫なのでしょうか。
(※検討の先生方によると、以下▲5九に相駒、△2三飛成りに、▲2五銀が好手らしく、先手がまだまだとか。なるほど、勉強になります。)
先手かなり迫ってる印象
▲5九歩 △2三飛成▲2五銀 △3六歩 ▲3四金 △3二龍 ▲3六銀 △6三角 ▲2五銀 △2七角成 ▲2二歩 △1三桂▲1四銀 △3六歩 ▲2三銀成 △3七歩成 ▲3二成銀 △同 玉 ▲2一飛
大駒を全て取られてしまった先手の渡辺王将ですが、そこは、細かい攻めを繰り出すのは棋界一と言われる渡辺王将。ここから盛り返すのか、以下本譜を見ていきます。
後手の広瀬八段は▲2五銀に対し△3六歩とします、厳しい手です。▲3八歩などではつまらないと▲3四金、△3二龍にここで▲3六銀と歩を払いました。
△6三角と銀取に、先手は再度▲2五銀とでます。△2七角成、次の▽3六歩が厳しそう、▲2二歩に△1三桂と銀に当てながら逃げます。▲1四銀、△3六歩に▲2三銀成。先手渡辺王将、金銀歩でかなり後手玉に迫ってきた印象です、大駒も取り返せそう。
後手△3七歩成と取れるものは取っときます。しかし▲3二成銀と竜を取られ △同 玉に▲2一飛! 2一飛!? 凄い所に打ちましたね。
先手2度目の2一飛 後手玉狭っ!
△4二銀 ▲5七銀右 △3六馬▲7九玉 △4七と ▲5六銀 △4六と ▲3一飛成 △同 玉 ▲2一飛 △3二玉
全図より、後手広瀬八段は4二銀と、持ち駒を投入します。確かに、後手陣銀一枚はめ込んだだけで意外にしっかりした陣形に見えます。
その後、後手は馬とと金で先手陣に迫ります。△4六と、と5六の銀を詰ましたところで、渡辺王将▲3一飛と質駒の飛車を取ります。
△同玉に再び▲2一飛、後手玉は3一に逃げるしかありませんが、3四に金がいて、後手玉めっちゃ狭いですね。先手の持ち駒が今の所歩のみなのが唯一の救いでしょうか。
先手果敢に攻めるも後手なかなか倒れず
▲9一飛成 △5一銀▲2四香 △同 角 ▲同 金 △5六と ▲2三角 △4二玉 ▲5六角成 △4三銀
前図以下、先手渡辺王将は▲9一飛成と9一の今日を取りました。香車好きですよね、渡辺王将。後手広瀬八段、△5一銀とブロックを作ります。角金がが利いてるので、右側は当分大丈夫でしょうか。
▲2一に”と金”を作りたい先手は▲2四香とします。広瀬八段バッサリと△同角!▲同 金に△5六とと銀を取りますが▲2三角、△4二玉、▲5六角成でと金を抜かれてしまします。まあ、このと金で桂銀が取れたので戦果は十分にあげましたが。
広瀬八段ここで△4三銀とまた銀を打って自陣を引き締めます。固いとも言えますが、左から攻められたら怖いですね。
後手陣左翼での攻防 まだまだ長そう
▲2三馬 △3一桂▲1四馬 △同 馬 ▲同 金 △2八飛 ▲2一歩成 △同飛成 ▲2三歩 △3三銀 ▲8二角 △8五桂
前図より、△4三銀に対し渡辺王将は▲2三馬と再度潜りました。後手は露骨に△3一桂、▲1四馬に△同 馬、▲同 金。あれ、先手の金、そっぽ行っちゃいましたね。
そこで後手広瀬八段、待望の△2八飛、ようやく飛車が降ろせましたね。しかし渡辺王将このタイミングで▲2一歩成!△同飛成とさせて▲2三歩と蓋をします。なんか本局このパターン多いですね。以下△3三銀と引きます。次△2五桂と跳ねれば金が死にます。
先手構わず▲8二角。広瀬八段は△8五桂を選びました。将来寄せにも使えるという判断なのかもしれません。
後手はもう入玉しかないですか
▲7三角成 △6二香 ▲8六歩 △3六角 ▲4四歩 △同銀直 ▲3四歩 △同 銀 ▲2四金 △2三銀▲2二歩 △3二龍 ▲3三歩 △同 銀 ▲同 金 △同 玉 ▲8五歩 △2五桂 ▲7四馬 △4三桂▲2一歩成 △2六歩
前図以降、後手は先手にいいように攻められます。8五の桂を取られ、金を拠点に左辺は抑え込まれ、右辺は大駒が2枚も待機しています。
2筋、3筋に角、桂、歩を打って、陣地作り。入玉しかないですか。
先手絶好の馬引き、後手玉万事休す
▲5七金 △2七角成 ▲1一と △1八歩 ▲1六銀 △1七桂成 ▲2七銀 △同歩成▲4六金 △2四玉 ▲4四桂 △3九龍 ▲5二桂成 △1九歩成 ▲4七馬
後手は着々と敵陣で駒を成り、あとは玉の到着を待つのみ、ようやく4段目までこれたのですが、先手絶好の▲4七馬!竜がいるとはいえ、後手玉かなり危険な状態です。
後手逃げられずあえなく投了
△1五玉 ▲4八角 △同 龍▲2五金 △1六玉 ▲4八馬 △投了 まで153手で先手勝ち
先手渡辺王将は2枚目の角を投入、広瀬玉を王込みます。後手広瀬八段も竜を使ってその角を消しますが、金を打たれでさすがに持ちません、▲4八馬で投了となりました。
投了図以降は、放っておけば1五馬まで詰み。△2五玉には一度▲4七馬としておけば後手玉はバックするしかなく、入玉できませんし、先手玉は相当詰みません。投了もやむなしといったところでしょうか。
本シリーズは広瀬八段の方が先に3勝し、奪取目前化と思われましたが、渡辺王将も簡単には倒れませんでした最終局の本局も153手の大熱戦、見ごたえのある王将戦7番勝負でした。
両先生方、お疲れ様でした。渡辺王将、防衛おめでとうございます。
あわせて読みたい
渡辺王将は珍しく右玉に構えます。詰めろ金取り、王手飛車、開き飛車金両取りなど激しい攻め合いの連続!
王将戦第6局:渡辺王将激戦を制し3勝目!決着は第7局へ