女流王位戦挑戦者決定戦 加藤女流三段が制す!

こんにちは、今回は女流王位戦挑戦者決定戦より伊藤女流三段×加藤女流三段の一戦の模様をお伝えします。
※前記事のタイトルで”奪取”と”奪還”を誤って記載していました。すみません。

 

今回対局者の共通点と言えば、元奨励会員という事ことですね。加藤女流三段は記憶に新しく昨年まで在籍していました。最終段は初段。

 

一方伊藤女流三段は2014年に退会、1級まで上がっています、凄いです。

 

この対局は東京将棋会館「特別対局室」で行われました。持ち時間は3時間。

 

先手は加藤女流三段初手は▲2六歩戦型は矢倉へ

▲2六歩 △3四歩 ▲7六歩 △4四歩 ▲2五歩 △3三角 ▲4八銀 △5二金右 ▲7八銀 △6二銀▲5六歩 △3二金 ▲7九角 △2二銀 ▲7七銀 △4一玉 ▲7八金 △4三金右 ▲6九玉 △3一玉▲5八金 △5四歩 ▲6六歩 △5三銀 ▲3六歩 △5一角

後手:26手目5一角

先手は加藤女流三段、初手は▲2六歩、対して後手は△3四歩。▲7六歩 △4四歩 ▲2五歩 △3三角 、後手はまだ居飛車と振り飛車両方あるところですが、8手目の△5二金右で居飛車が濃厚。

 

先手も△5二金右を見て▲7八銀と上がり、その後お互いに駒組み、戦型は相矢倉の型となりました。局面図は後手が△5一角と引いた所。

 

後手角交換を拒む△3三桂

▲2四歩 △同 歩 ▲同 角 △3三桂

後手:30手目3三桂

先手は▲2四歩 △同 歩 ▲同 角として角をぶつけます、後手が交換に応じれば先程の△5一角の一手が無駄。後手は△3三桂と拒みます。

先手、後手の飛車を押し込み2筋に拠点作り成功

▲3七桂 △7四歩 ▲4六角 △9二飛 ▲2四歩 △4五歩

後手:36手目4五歩

△3三桂を見て後手も▲3七桂と跳ねます、以下△7四歩 ▲4六角 △9二飛 。
先手、後手の飛車を押し込み、▲2四歩と2筋に拠点を作ります。後手△4五歩と角頭を攻めますが、この後先手に凄い手が出ます。

 

先手▲9一角成!角を切って早くも勝負に出る!

▲9一角成!

先手:37手目9一角成

なんと、くりびつ行天の角と香を指し違えました、まだどちらかというと序盤ですけど、大丈夫なんでしょうか!?先手は。

 

先手早くも拠点を活かした香打ち!

△同 飛 ▲2三香

先手:39手目2三香

先手は角を犠牲に手に入れた香を早くも2三に打ち込みます、2四の拠点が光ってますね。
てことは△4五歩と突かなくても角切りはしたのかしら・・・。

 

先手銀を入手し、狙いの▲5二銀

△2一歩▲2二香成 △同 歩 ▲5二銀

先手:43手目5二銀

後手は香打ちに対し同銀と応じてしまうと投了級の崩壊が待っているので、△2一歩と、穏やかに治めにいきます。

 

※△2一歩に代わり△9二飛と上がる手も有力だったそうです。金銀は取られますが最後▲2三飛成に△2二香で竜を捕獲するのだとか。なるほど、勉強になります。

 

局面図は2二で手に入れた銀を先手が早速5二へ打ち込んだ所。後手超ピンチに見えます。ちなみに先手は金が入るともれなく飛車が取れます。

 

後手角桂香で先手飛車に迫る

△9二飛 ▲5一銀成 △7三角 ▲5二角 △2五香

後手:48手目2五香

 

そういえば加藤さんはタイトル獲得8期なのに女流三段なんですね(昇段規定だとタイトル七期で女流五段)。
まあ一年目から三段でいうのも破格ですが。。
まあ、あまり細かい事いってもなんですから、、来年あたり規定が出来るのでしょう。

 

局面図は48手目後手が△2五香と据えた所。
▲5二銀に後手は△9二飛と上がりました、働いてませんでしたからね、飛車。
その代わり角を取られて、駒割は銀香交換で先手の駒得にかわりました。

 

後手△7三角~△2五香で先手の飛車を攻めます。先手ピンチのように見えますが、この後猛攻が始まります。

 

先手二度目の角切りから猛攻

▲4一成銀 △2一玉▲4三角成 △同 金 ▲4五桂 △4四銀 ▲3三桂成 △同 金 ▲2五飛

先手:57手目2五飛車

先手▲4一成銀~▲4三角成とし、△同金に▲4五桂、後手も飛車は取らず△4四銀と受けますが、 先手▲3三桂成 △同 金 ▲2五飛として、2五の香を取り切ります。(今回香出すぎ)

 

決定打!?▲2五桂で先手勝勢に

△1四角 ▲2三歩成 △同 歩▲6五飛 △6四歩 ▲8五飛 △8四歩 ▲1五飛 △3六角 ▲2五桂

先手:67手目2五桂

 

先手の▲2五飛に後手は△1四角と飛車と成銀の両取りに角を打ちますが、先手絶品の▲2三歩成(ほっとけば▲3一金で詰み、△同歩だと成銀が助かり、△同角△同金は▲3一金△1二玉に▲2四桂で勝勢)、後手は△同歩と応じます。

 

その後先手飛車は6五、8五と逃げ回り、ようやく1筋にきて少し安定。(初めから1五じゃだめだったのでしょうか)
後手△3六角と、とりあえずは質駒から外します。

 

先手▲2五桂!3三の金は下がっても寄っても左上に上がっても▲1三桂成(△3一桂以外なら詰めろが掛かりそう、△3一桂なら9二の飛車は最悪取れそうです。)

 

後手反撃するも先手余して後手投了

△1四歩 ▲3三桂成 △同 銀▲3七歩 △1五歩 ▲3六歩 △2九飛 ▲5九金 △2四桂 ▲4三金 △3六桂 ▲3三金 △4八桂成▲4三角 △投了 ま81手で先手勝ち

投了図先手:81手目4三角

後手△1四歩。なるほどー!△1四歩か~、△1四歩いい手っスね(←急にアマチュア感出すな)。

 

後手はその後飛車を取って敵陣に打ち込み成桂と連携して先手玉を追い詰めますが先手の正確な差し回しで投了もやむなしとなりました。

 

勝った加藤女流三段、女流王位戦初挑戦おめでとうございます、獲得期待しています。
伊藤女流三段、残念、次こそ、タイトル獲得見せて下さい。

 

今回も勉強になりました。両先生ありがとうございました。

 

 

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