将棋観戦:決勝リーグ入りを掛けた注目の一局 斎藤(慎)七段VS藤井七段

こんにちは。
将棋観戦記、今回は2019/12/27行われた第61期王位戦予選7ブロック決勝 斎藤(慎)七段VS藤井(総)七段の対局の棋譜を掲載します。
予選決勝ですので勝者が王位戦紅白リーグ入りとなります。
本対局の場所は関西将棋会館「水無瀬の間」、10時対局開始で持ち時間は格4時間です。

斎藤七段の振り歩先でと金が三枚、藤井七段の先手番となりました。

 

本対局者の藤井七段は10代で棋戦優勝3回、七段昇段、去年は超難関の王将リーグ入りも果たした言わずと知れた超が付く棋界のニューホープ、ただタイトルの棋戦はあと1、2歩挑戦者まで届きません。是非とも本棋戦は挑戦者まで勝ち上がってまたメディアを騒がしてほしい所です。
(※今旬のニューホープは本田五段でしたね、渡辺棋王にどこまで迫れるか、楽しみです。)

 

後手となった斎藤七段もまだ若手と呼べる年齢ですが、既にタイトル一期(王座)獲得した実績もあり、実績は藤井七段より数段上回ります。
師匠譲りの攻め将棋で勝ち上がって欲しいです。

 

初手は藤井七段安定のお茶(笑)、の後▲2六歩、後手斎藤七段△8四歩、▲7六歩、△3二金と進み戦型は流行りの角換りへ。
その後定跡通りの駒組みに進み、進行も相腰掛け銀に。

 

先手藤井七段は▲8八のに向けて玉を一目散に左辺に寄せていく一方、後手王は5二、4二と動き手番待ち。
この手番待ち、アマチュア(というか私)は、手番を待つ損得の計算も出来ないのもありますが実際に指すのはなかなか難しいです。

 

先に仕掛けたのは先手の藤井七段、▲4五桂と跳ねて後手の3三の銀当たりに。対して後手斎藤七段は△4四銀とかわします。これで後手2四の利きが減ったので先手当然飛車先を切します。
まだ定跡範囲内進行といったところでしょうか。

 

▲2四同飛車に対し後手△2三歩、▲2九飛と進み今度は後手の手番、仕掛けます。△6五歩、▲同歩、△7五歩。
△7五歩に▲同歩なら△7六歩でしょうか。

 

先手藤井七段は△7五歩に▲2二歩と着手しました。桂取ですが、真の狙いは金で取らせて壁にさせようというところ。
後手斎藤七段は注文通り2二金と歩を払います。

 

▲7九玉、△3二金の後もう一度▲2二歩、そして同じく△同金。以降▲6四歩、3二金。ここで昼食休憩。(ここまでで59手)
昼食再開後、先手藤井七段、▲7五歩と当たっている歩を取り、同時に歩切れも解消。後手も△3一王と王を戦場になりそうな右辺から逃げつつ
先手の2二の歩を王で取れる位置に移動します。

 

しかし次の手、私はびっくりしました。63手目▲7四角!
この戦型は7二、3八にそれぞれ角か銀を打ち込む、打ち込ませない、あえて撃ち込ませる変化で余す、というせめぎ合いが
見どころの一つの戦型だと思っているので、この▲7四角の着手はちょっとくりびつ行天、6五の地点をを補強した受けにウエイトを置いた手でしょうか。

 

63手目先手藤井 7四角

 

対する後手の斎藤七段は△7六歩、▲同銀なら飛車先を切って軽くできます。
以降▲同銀、△6六歩、▲3五歩。
後手は△4五銀と桂馬を取り、▲4五同歩に△8四桂として、先手の7六の銀を狙います。
この先手の7六の銀は詰んでるので、先手藤井七段▲7七銀と埋めます。
後手の斎藤七段、すぐに銀を取らずに40分の長考の末遠く2二に角を放ちました、なんかパッと見よさそうな角です。
△2二角、▲8五銀、△同桂、▲同角、△7六銀、▲同角、△同桂、▲同銀、△6七歩成、▲同銀左、△9九角成
と進みます、後手待望の馬が出来ました。
△9九角成に対し先手▲8八銀として、△9八馬。

 

以降先手藤井七段、▲3四歩として歩を補充しながら玉頭に迫っていきます。
▲3四歩、8三香
後手は8九飛と9八馬に加え8三に香を設置、かなり破壊力がありそうです。
▲3五桂
先手も2九の飛車と連動させて3五に桂を置いて、2三からの突破を目指します。
先手は8筋受けないんですね、もうこの時点で速度計算ができているのでしょうか、アマチュアからしたらかなり怖いです。
△8七香成、▲同銀、△同馬の瞬間が甘いので▲2三桂成から迫れるという事らしいのですが。
プロの読みは凄いですね。

 

△2四歩。
私がこの局で一番勉強になった手です、△2四歩と浮き、▲同飛に△1三角で飛車に当てつつ2筋を強化できるという手です。
まさに”は~そうするもんですか~”の一手でした。

 

88手目後手斎藤 2四歩

 

▲同飛、△1三角、▲2五飛。
先手は3五の桂も守る必要があるので飛車の逃げ場所は▲2五しかありません。

 

△8七香成、▲同銀、△同馬。
後手も8筋から殺到します。しかしよく見ると後手持ち駒銀、歩、先手陣の6七銀、7八金、4八金の連携が良さげで後手の攻めは
なかなか大変そうかなという感じです。

 

以降▲2三桂成、△同金、▲同飛成。
なので先手も▲2三桂成と飛び込みます。▲3二金までの詰めろ。

 

△3二銀、▲8二歩。
後手は▲2三飛成に対し△3二銀と埋めます、これが竜当たりに。そ先手藤七段はこの龍取りを手抜いて▲8二歩とこちらも飛車取りを選択。

 

△8二同飛、▲8三歩、△同飛、▲8四歩、△同飛、▲3三香。
その後先手は歩を連打して飛車を8五まで釣り上げたあと、▲3三香と打ち込んでついに寄せにいきます。

107手目先手藤井 3三香

 

前図以降△同桂、▲同歩成、△2三銀、▲8七金。
後手は△同桂の一手に先手▲同歩成とし、△2三銀、▲8七金とお互い竜と馬を外しました。

 

△2九飛、▲7八玉、△8六歩、▲8八金、△6五香、▲同銀、△同銀
後手はと金を払える3九ではなく2九に飛車を下ろしました。▲7八玉に△8六歩からどんどん先手陣に迫っていきます。

 

▲3九香!

 

飛車利きを遮えぎつつ、△同飛成は2三の銀の紐が外れるので▲4二金、△2一王、▲2二歩、△同角(△1二王は▲2一角まで)
▲3二角、△1二王、▲2三角成、で後手が詰むという仕組み。なるほどー。
119手目先手藤井 3九香

 

△3六桂、▲3四桂 △投了 (121手)
後手も△3六桂と香車をブロックしますが、▲3四桂を見て投了となりました。

 

投了図先手藤井 3四桂迄

 

藤井七段決勝リーグ入りおめでとうございます、さらに勝ち上がってタイトル挑戦を是非見させてください。
斎藤七段、勉強になる手がたくさん出てきて観ててとても楽しかったです。この棋戦は負けてしまいましたが、来季A級昇級期待しています。
ありがとうございました。

 

今期順位戦も連勝ひた走る藤井七段、今期もついに連勝を8に伸ばしました。
藤井七段順位戦8回戦目の棋譜と私のつぶやきがを掲載しています。宜しかったらご覧になってみて下さい。
つぶやきは要らないが棋譜だけ見たいという方は我慢してみて下さい。

 

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