将棋観戦 必見!振り飛車の名裁き 屋敷九段×久保九段。
将棋観戦記 こんにちは。
今回の観戦記は2020年1月7日に行われた竜王戦1組ランキング戦の中から久保九段VS屋敷九段の対局を掲載して参ります。
本対局は、捌く振り飛車のお手本のような棋譜です。振り飛車の盤面全戦力遊び駒が全く無い局面をご堪能下さい。全駒を使って勝つこれぞ裁きのアーチスト!
2020年1月7日 東京将棋会館・特別対局室
屋敷九段の振り歩先で歩が3枚、屋敷九段の先手となりました。
後手は四間飛車に
▲2六歩 △3四歩 ▲2五歩 △3三角 ▲7六歩 △3二銀 ▲4八銀 △4二飛
順位戦A級所属で唯一振り飛車主戦の久保九段、今期は余り揮わない成績なので頑張ってほしいです。(※佐藤会長も振り飛車多いですね)
戦型は四間飛車を採用しました。
後手から角交換後、△2二飛へ
▲6八玉 △6二玉▲7八玉 △7二玉 ▲5六歩 △8二玉 ▲5七銀 △9四歩 ▲9六歩 △5二金左 ▲5八金右 △8八角成▲同 玉 △3三銀 ▲7八銀 △2二飛
先手後手共に美濃囲い。対抗形はいいですね。
軽い飛車の動き
▲3六歩 △7二銀 ▲6六歩 △4四銀 ▲6五歩 △3五歩▲同 歩 △3二飛
後手は先手の▲3六歩を見て3三の銀を進出し3筋から動きます。以下△3五歩▲同 歩 △3二飛 として早くも指しやすくなってる感じです。
(▲3八飛には△2七角)
32手で後手は3回も飛車が移動しています、軽い。
桂を捌いてカウンター、これぞ振り飛車
▲2四歩 △3五飛 ▲3七歩 △2四歩 ▲同 飛 △3三桂
▲2四歩 △3五飛に先手は2三に歩を成りたいですが、一度飛車成りを受けなければなりません、辛い!
△2四歩 ▲同 飛 △3三桂に▲2一飛成としたら△2五飛を用意しているこの局面、まさに振り飛車の常とう手段。
私は低級位の頃、このような局面を見ると振り飛車まずいなと思っていましたが、まさにこれが桂を捌きながら相手の竜と自分の生飛車を交換するカウンター。
後手気が付けば駒得へ
▲2二角 △4五桂▲4六銀 △3三銀 ▲同角成 △同 飛 ▲2二飛成
先手の▲2二角に対して後手は桂を△4五へ、▲4六銀に△3三銀、なるほど。普通に交換しても△2八飛が残るので先手は仕方なく△3三同角成として△同 飛 ▲2二飛成。3三の飛車が危ないですが▲3三竜には必殺△6六角があるので飛車は取れない仕組み。
2発目のカウンター狙い
△1四角
△1四角として次の△2三飛を狙う。
王手龍取り
▲2四歩 △3六歩 ▲3三龍 △6六角
2三飛を消すために先手は▲2四歩と着手しますが、次の△3六歩で、いよいよ2、3、4筋が危険な状態になってきましたので仕方なく▲3三竜と飛車を取りました。後手は悠々と、気持ちの良い王手龍取り。
先手反撃
▲7七桂 △3三角 ▲4五銀 △2八飛 ▲3一飛 △2四角 ▲1一飛成 △2九飛成 ▲8六香
先手は王手を桂で受けます、お互い飛車を降ろして小駒の回収に。先手は7七桂を活かして▲8六香と急所を狙いを定めます。これも美濃に対する居飛車のよくある手段。手駒に銀桂があるので、▲6一竜から殺到すればかなり破壊力があります。
全戦力働かせる、遊び駒無し
△5一金寄▲2二龍 △2三歩 ▲3四銀 △6六桂 ▲4三銀成 △2五角
▲6一飛を許さない△5一金寄、そして▲4三銀成には1四の角を 2五角へ回して対応。盤面全部の駒が働いています。凄い。
最後は受け潰し
▲5二成銀 △同 角 ▲7五桂 △7四銀▲6四歩 △7五銀 ▲6三歩成 △同 角 ▲7五歩 △6二歩 ▲投了まで76手で後手の勝ち
先手はその後も攻め続けますが、後手がきれいに効果的に受けます。結局76手目。△6二歩を見て先手投了。
後手の王手ってあの△6六角だけだったような気がします。
両先生方、今回も勉強になりました、ありがとうございました。
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